「スマホは便利だけれど、つい使いすぎてしまう」——そんな課題に市として踏み込んだのが、愛知県豊明市です。
市は全国で初めて、大人から子どもまで市民全員を対象に「1日2時間を目安にスマートフォンを使う」という条例案を議会に提出しました。
罰則はなく、強制力もありませんが、あえて“条例”という形をとったことに大きな注目が集まっています。
今回は、この条例案の内容や狙い、市民の声、そして私たちの生活にどんな影響があるのかを整理してみました。
条例案の概要|「スマホ1日2時間」はあくまで目安
豊明市が提出した「スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例案」は、2025年9月定例市議会で審議され、可決されれば10月1日から施行される予定です。
最大の特徴は「対象が子どもだけでなく市民全員」という点。
余暇時間に限定し、スマホ利用は1日2時間以内を目安としています。
ただし、「目安」であるため罰則はなく、違反してもペナルティは課されません。
市は「市民の自由を尊重しつつ、健康的な生活リズムを取り戻すきっかけにしてほしい」と説明しています。
子ども向けルール|夜は使いすぎない工夫
条例案では、特に子どもへの配慮が盛り込まれています。
小学生は午後9時まで、中学生以上は午後10時までを利用の目安とし、夜更かしや学習・睡眠への悪影響を防ぐ狙いです。
スマホ依存が社会問題化する中、保護者の教育負担を和らげる意味合いもあります。
家庭で「この時間までね」とルールを決めやすくなることは、親子の対話や生活習慣の安定につながるかもしれません。
条例の目的|健康・生活リズム・家族時間の回復
豊明市が条例化に踏み切った背景には、スマホ依存の広がりがあります。
長時間の利用による目の疲れ、睡眠不足、学力や集中力の低下などが懸念され、特に若年層での影響が指摘されています。
さらに、市は「家族や地域で過ごす時間を取り戻す」という目的も掲げています。
スマホに時間を奪われることで、会話や地域活動が減っている現状を改善したいという思いが込められています。
市民やメディアの反応|「余計なお世話」か「良いきっかけ」か
この条例案には賛否が分かれています。
賛成意見としては、
「健康のためにちょうどいい目安になる」
「親として子どもに言いやすくなる」
「市が問題提起してくれたのはありがたい」
といった声が上がっています。
一方、反対の声も少なくありません。
「個人の自由に踏み込みすぎでは」
「条例で決めるのは違和感がある」
「大人も対象なのはやりすぎ」
SNSでは「スマホは仕事にも必要」「余計なお世話だ」といった批判的な意見も目立ちました。
地元メディアやラジオ番組でも議論が交わされ、「啓発なのか介入なのか」という視点で紹介されるケースが増えています。
他地域の事例との比較|香川県のゲーム条例と何が違う?
スマホ利用の時間制限と聞いて思い出されるのが、香川県の「ゲームは1日1時間」条例です。
2020年に施行された同条例は子どもを対象とし、強い批判や訴訟に発展しました。
結果として合憲判決が出たものの、実効性への疑問や「条例でどこまで生活を制御できるのか」という課題を浮き彫りにしました。
豊明市の条例案は、これとはいくつかの点で異なります。
子どもだけでなく大人も対象
罰則なしであくまで目安にとどめる
啓発や支援策を重視し、市民への強制を避けている
つまり「制限」ではなく「きっかけ」を与えることを重視しているのです。
今後の課題と展望
豊明市は条例とあわせて、啓発活動や相談支援を進める方針を示しています。しかし課題は残ります。
実際に利用時間が減るのかどうか
生活習慣改善に効果があるのか
子育てや教育の現場でどう受け止められるか
また、全国的に注目される中で「他の自治体にも広がるのか」という点も焦点になりそうです。
もし他の市町村でも同様の取り組みが始まれば、社会全体で「スマホとの付き合い方」を問い直す流れが強まるかもしれません。
まとめ
豊明市は全国初となる「スマホ利用の目安条例」を提出
市民全員を対象に、1日2時間を“目安”として提示
子どもには夜の利用時間の制限を設定
罰則はなく、啓発と支援が中心
賛否両論の中で「気づきのきっかけ」になるかが問われている
スマホは今や生活に欠かせない存在です。
しかし、その便利さゆえに健康や人間関係への影響も無視できなくなっています。
豊明市の条例は、決して強制ではなく「考えるきっかけ」として投げかけられたもの。
あなたは1日どのくらいスマホを使っていますか?
この条例をきっかけに、少しだけ自分のスマホ時間を振り返ってみるのも良いかもしれません