「若者の自動車離れ」という言葉は、ここ20年ほど繰り返し使われてきました。
バブル崩壊後の消費低迷期や、デジタルコンテンツの台頭で「車よりスマホや旅行にお金を使う」と言われた時期もあります。
しかし2025年現在、この言葉が再び注目されています。
背景には、ガソリン代や保険料、駐車場代などの高騰があり、車を持つことが“ぜいたく”になりつつある現実があります。
その一方で、カーシェアリングや自動車サブスクのような「新しい車の使い方」が広がり、若者のライフスタイルに馴染んでいるのです。
果たして“車離れ”はネガティブな現象なのでしょうか? それとも社会全体のライフスタイル変化を象徴する現象なのでしょうか。
本記事ではその実態を探ります。
若者の車離れは本当に進んでいる?
統計上、自動車の新車販売台数は2000年代以降右肩下がりを続けています。
特に20代〜30代前半の購入率は落ち込みが大きく、「人生で一度も新車を買わない人」も増えています。
理由の一つは経済的な負担です。
- ガソリン代の高騰
- 駐車場代(都市部では月3万円以上も珍しくない)
- 自動車税や任意保険料
これらを合計すると「車を所有するだけで月数万円」が出ていきます。
収入が伸び悩む世代にとって、車は“高嶺の花”となりつつあるのです。
一方で、公共交通機関が発達した都市部では「車がなくても生活に困らない」現実があります。
車の必要性が薄れる中で、「わざわざ大きな負担を背負う必要があるのか?」という意識が広がっているようです。
価値観の変化:「所有からシェア」へ
かつて車は「ステータス」や「自由の象徴」でした。特に90年代までは、車を所有することが大人の証のように語られたものです。
しかし今の若者世代にとって、車は必要なときに使う道具に過ぎません。
- SNSやサブスクで「体験」にお金を使う傾向
- 高級車よりも「身軽に暮らす」ことへの価値観
- シェアサービスに慣れた世代(音楽・動画サブスクが当たり前)
こうした価値観のシフトが「車離れ」という現象の背景にあります。
決して「車に興味がない」わけではなく、「コスパやライフスタイルに合うかどうか」で選んでいるのです。
カーシェア&サブスクの普及
若者の車離れを象徴するのが、カーシェアリングと自動車サブスクの広がりです。
カーシェアリング
タイムズカーやdカーシェアなど、短時間から利用できるサービスが都市部で急成長。
スマホ1つで予約・解錠ができ、15分単位で利用できる手軽さが支持されています。
自動車サブスク
トヨタの「KINTO」をはじめ、月額料金で車を“借り放題”のサービスも登場。
保険・メンテナンス込みで支払いが分かりやすく、「車を所有するのは不安だけど使ってみたい」若者層に人気です。
これらのサービスは「所有のリスク」を取り除き、“使う自由”だけを提供する仕組みとして広がっています。
都市と地方での温度差
ただし、この現象は全国一律ではありません。
- 都市部:公共交通機関が発達しており「カーシェアで十分」という意識が強い。
- 地方部:移動の自由が制限されるため「車は必需品」。サブスクを利用しても、結局“マイカー”は手放せない。
つまり「若者の車離れ」といっても、地域性によって温度差があるのです。
都市部では進行が早く、地方ではまだ所有文化が根強い。
これもまた、議論を複雑にしている要因です。
自動車業界への影響
若者の価値観の変化は、自動車メーカーの戦略にも影響を与えています。
- 電動化やコンパクトカーへのシフト
- サブスク型サービスへの参入
- SNSやライフスタイルを意識したマーケティング
「車を売る」のではなく「移動を売る」という発想が広がりつつあります。
これは、音楽や映画が“モノ”から“サブスク体験”へ変化したのと同じ流れです。
車離れは新しい時代の車とのつきあい方
「若者の車離れ」という言葉には、どこかネガティブな響きがあります。
しかし実際には「車を持たなくなった」のではなく、「車とのつきあい方が変わった」と捉えるべきでしょう。
- 経済的な負担を避けつつ、必要なときに車を利用する
- 所有よりもシェアやサブスクで柔軟に使い分ける
- 車は“夢の象徴”から“生活インフラ”へ役割をシフト
つまり「車離れ」は、単なる衰退ではなく新しいライフスタイルの始まりなのかもしれません。
「車を持たない選択肢が広がるなかで、実際にカーシェアとサブスクのどちらが自分の生活に合うのか気になる方も多いはずです。
利用シーンやコストの違いを具体的に比較した内容は、こちらの記事で詳しく解説しています 👇️